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愛馬の食事・カウンセリングルーム

Q28 馬にもカーボローディング?

Q28 質問者:乗馬愛好家

サッカーや長距離走の選手は、試合や大会の2~3日前から炭水化物の食物を増やして身体の炭水化物を取り入れる力を増しいくそうです。そうすると体内でグリコーゲンが蓄積されて当日の持久力がアップするそうです(カーボローディング)。
競技馬についても競技当日のパフォーマンスを向上させる飼料の与え方について、(1)大会前(2)大会当日(3)競技終了後などに区切って留意することがあれば教えてください。また馬場馬と障害馬での与え方の違いなどもあるのでしょうか。

Answer

カーボローディングの効果は馬でも試され諸説あるものの、ヒトで認められるほどの効果はないという評価が主流のようです。ただ、競技に向けて馬体重を調整する目的で大腸の内容物(水分を含む)の減少を図るべく牧草の給与量を競技の数日前から減らすことは一定の効果がある可能性はあります。

しかし、耐久競技のように水分補給が競技成績のカギを握るような場合には、逆に腸内に水分を保持する繊維質が豊富な牧草を一定量以上給与することは重要となります。馬はヒトとは異なり、牧草のほかにエンバクなど炭水化物が豊富な穀類などを普段から摂取していること、競馬を含め通常の馬の競技はヒトでの長距離走に比べ競技時間が短いことなどの理由によりカーボローディング法の応用が競技成績に直結するとは考えられません。
なお、競技前、中、後の飼料給与方法の要点については関心の高いテーマですので、いずれ「愛馬のためのカイバ道場」(日本馬術連盟発行 月刊『馬術情報』で連載中。バックナンバーは当社HPでも閲覧可能です)でも取り上げたいと考えています。