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愛馬の食事・カウンセリングルーム

Q39 ボロを食べる馬

Q39 質問者:乗馬愛好家

ヨーロッパ産の小ぶりな牝馬で現在9歳、性格は少し神経質なところがあります。 馬体はふっくらタイプの障害飛越の競技馬です。とても元気な子なので運動量は多めです。
現在の飼料は、
朝:ペレット・MIX・エクイストロ-メガベース(サプリメント)
間食:乾草多め
昼:MIX・関節粉末サプリ
間食:乾草少め
夕:ペレット・MIX・エクイストロ-メガベース(サプリメント)
間食:乾草多め
岩塩は常に厩舎に吊るしてあります。
とても食べるのがはやくボロを食べる癖があるので間食として乾草を目の細かいネットに入れて与えています。
乳酸菌等も試しましたが効き目はなく、おなかが空いてしまうと食べてしまうようです。
普段の飼料の量の調整はできますが、クラブで統一しているので飼料の種類は変えることはできません。
トレーニングをする競技馬として改善できる点やベストなサプリや摂取方法、ハードなトレーニングや試合時のベストな配合等のアドバイスがあれば教えてください。

Answer

給与されているペレットやMIXの詳細が不明なため一般的な回答となることをあらかじめご容赦ください。
まず、ボロを食べる習性について一般的な診断は、(1)飼料中の繊維不足、(2)飼料全体のエネルギー不足(給与量が少ない)、(3)精神的あるいは何らかのストレス、などが考えられます。 質問者様の愛馬の場合、(3)については論外かと思われ、(1)(2)に関して考えられることを以下に記述します。

各飼い付けの合間に乾草が与えられており、これは馬の健康維持(とくに胃潰瘍防止など)に効果があるものと考えられますが、全体的には給与量が少ない可能性があります(目の細かいネットに入れているのは早食いの馬にとっては非常に効果があります)。 乾草の総量としては少なくとも体重の1.5%が必要と考えられます。
各飼い付けの中に切り草として少量(300-500g前後)を入れ、他の飼料と混合して与えてみてはいかがでしょう。あるいはヘイキューブをいくつか入れてやってもよいかもしれません。 あわせて間食として与える乾草の一部にアルファルファ乾草を少し入れてやるのも栄養価を上げるうえで効果があると思われます。

馬体はふっくらしているのにすぐに空腹になる、とのこと、上記内容と矛盾するかもしれませんが、ふっくらしているのは、エネルギーは不足していながらも繊維分を摂取し過ぎている可能性もあります(この場合、ボロ食いの原因は上記(2)になる)。 飼料全体から摂取しているエネルギー量を計算する必要がありますが、エネルギー摂取量が少ない場合は濃厚飼料(ペレット、MIX、穀類など)を少量増やす必要があるかもしれません。 まずは牧草摂取量を確認してみてはいかがでしょう。
トレーニング時と試合時の給与原則は、同じものを同じタイミングで与えることにつきます。 ただ、競技時間と飼い付け時間のタイミングについては、競馬ほどのハードな運動ではなくとも競技が始まる数時間前には飼料摂取を終えているようにする(飼料から摂取したエネルギーを効率よく運動に消費するため)のがベストです。