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愛馬の食事・カウンセリングルーム

Q54 馬運車で長距離移動する際に気をつけたいこと

Q54 質問者:乗馬愛好家

距離にして700km程の馬の輸送を考えています。輸送中の水の与え方、餌のあげ方等について詳しく教えてください。また、輸送前後の注意点や輸送中に与えてはいけないもの、逆に、積極的に与えたほうが良いもの等があれば詳しく教えてください。

 

Answer

落ち着く馬房と違って、馬にとって狭くて、時には大きく揺れたりもして不自由の多い馬運車の中ですが、長距離輸送で最も重要な事は、車内の環境を出来るだけ良好に保つことです。そのためには、

① 常に車内の換気を良好にする。
② 定期的に休息して車内の糞尿を掃除して環境のアンモニア発生を極力抑制する。(少なくとも4時間おきに休息時間を設けて、その際は少なくとも20分程度は停車休息することが推奨されています)
③ 乾草から舞い上がる塵埃を馬に吸い込ませないように、馬の前に吊るす乾草は馬が食べられる範囲内で、なるべく下の方に吊るす。また塵埃を除去するために予め乾草を水漬しておく。あるいは乾草の代わりにサイレージを与える。
④ 疝痛を誘発させる脱水を防ぐために新鮮な水を休息の度に飲ませる。
⑤ 馬の頭頸部を高く固定してしまうと、気道に入る細菌や塵埃を馬が自分で排除しにくくなってしまいます。馬の頭頸部は自由に動かせるようにしておく。

などが重要です。
また、夏季の輸送では発汗で失うナトリウムなどの電解質を輸送開始の前から事前に補給しておくことも大切です。

また、馬運車での輸送については
馬を体調万全なまま運ぶ-輸送とコンディショニング-(«馬術情報»「愛馬のためのカイバ道場」 Vol.7(2017年2月号)でも解説していますので併せてご参照ください。弊社のHPからも閲覧可能です。