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愛馬の食事・カウンセリングルーム

Q57 フレグモーネ治療中の馬に与える飼料と与え方。

Q57 質問者:乗馬愛好家

16歳のサラブレッドを乗用馬として所有しています。
2年前にフレグモーネを発症し、脚、特に球節の腫れが慢性化した状態でした。 1ヶ月前に再発して腫れが酷く、いまだ球節や脛の皮膚が破れて膿が出た患部は肉芽がなかなか小さくなりません。

腫れの具合も慢性期の時よりも酷い状態が続いています。

再発した際に食欲不振の状態が長かったため、痩せて肋骨や特に腰骨が目立ちます。
フレグモーネの馬に適した、腫れの吸収によい食べ物やサプリがあれば教えて下さい。

現在は食欲もあり、普段3回に分けて1日にアルファルファ乾草を6㎏とオーツヘイ4㎏ 計10㎏を与えていましたが、肥らせる為にビートパルプを800g追加して与えています。 それでもなかなか肉付きが回復しません。

「愛馬のためのカイバ道場」を拝見してアマニ油がいいかと思ったのですがコストが高く、米油ならスーパーで1リットルのボトルが手ごろな価格で買えるので、米油で馬を肥らせるのは有効でしょうか。

有効だとしたら1日に与える量はどの位が適量でしょうか?

 

Answer

フレグモーネは外傷により外部から細菌が侵入して発症することが多い化膿性疾患です。治療のタイミングの遅れなどにより、下肢部の感染にとどまらず関節などに感染が広がると重症化する危険性があります。

獣医師による診察を受けて原因となった細菌をつきとめた上で、抗生物質による治療を行う方法が一般的です。そうした投薬治療に比べて飼料やサプリメントによる改善の見込みは非常に少ないと考えられます。

ただし、ご指摘のように抗炎症作用を有するオメガ3(ω3)を多く含むアマニ油は、馬の自己免疫を増強させる目的からも幾ばくかの効果があるかもしれません。ちなみにオメガ3は生草にも多く含まれるため、生草を利用できる環境であれば毎日少量でも与える価値はあると思われます。

また、フレグモーネを発症した場合、その痛みによって健全な対側肢に過剰な負荷がかかり蹄葉炎を発症することもあるので、過分な体重増加を図ることは推奨できません。 現状給与飼料(アルファルファ6㎏、オーツヘイ4㎏、ビートパルプ800g)から供給されるエネルギー量は、体重540-550㎏程度の馬が維持(特に運動をしていない状況)に必要な量と同等ですので、更に油を追加する必要性があるかどうかは悩ましいところです。

飼料の与え過ぎにならないように注意しながら、肉付きを少しだけ回復させるという目的なら、アマニ油でなくとも米油でも何ら問題はありません。

1日あたり総量で100㏄前後の少量を加えて1週間程度様子をみる。
肉付きに変化がなければさらに100㏄を追加する。といったように慎重な給与方法をお勧めします。